- 新潮社
- 19×13cm、271ページ
- ISBN 978-4106038167
- 価格 1404円
判りやすく重力波について紹介した本。いえいえ、そればかりでなく空間(宇宙)+時間、すなわち時空間、つまり物理現象が起こるこの世界について、物理の本としては珍しく数式を使わずに(ごく一部にはある)説明していることは、ご本人もおっしゃるとおり、さすが大新聞の科学記者である。そればかりか、古事記・日本書紀まで登場するほど話題が豊富! 一例は、ラテン語のUnus(一つの)+Vertere(…に変わる)→Universus→Universe英語への変遷、ギリシャのイオニア学派の造語Cosmosは、本来「秩序」という意味で「宇宙」に変わったが、「見かけ」という意味からCosmetics「化粧品」にもなったとか、南スーダンのヌアー族やミャンマーのカナン族には「時間」という単語がない、ニュートンはアセクシャルだった(ご存じですか?)等々。
実は評者はかなり前に著者から取材を受けたことがある。プラネタリウムの解説員時代のこと。新聞に週一で連載されたコラムの件で、である。記者の方が入れ替わり立ち替わり、小部屋で突っ込みの尋問・質問取材を受けたのだ。みなさんさすがの方々ばかりだったが、本書著者はその中で女性記者2人の内の一人。東大物理学科卒の人はさすがと、鮮明に印象づけられた。今でも連載コラムは大切にファイルして我が書斎コーナーの一角を占有している。今後の宇宙論の展開を理解するためにも、ぜひともお勧めします。