- 中央公論新社
- 403ページ
- 定価 1323円
評者は1985年7月に本書の旧版と出会っている。神田のS書店で購入し、現在も自宅の書棚に飾ってある。ご存知のように著者は2021今年4月30日23時38分、急性冠症候群で亡くなられた。大型書店では“知の巨人”と呼ばれた著者の多数の著書を集めた追悼コーナーが設置されたが、本書は近所の書店で見かけて購入したものである。
評者が本書を購入した理由はもう一つある。日本初の宇宙飛行士の公募に応募し、合格してスペースシャトル「エンデバー」に2回搭乗した毛利衛さんの巻末エッセイと、高三時代に本書を読んで宇宙飛行士になることを決心した野口聡一さんと著者の巻末対談を読みたかったのである。これらは旧版には収録されていないものである。
改めて詠むと、旧書では気づかなかったことがたくさんあった(多分忘れてしまったのかもしれない)。たとえばアームストロング船長と共に、月面に人類初として降り立った有名なオルドリン宇宙飛行士は、帰還直後に精神異常で入院したとか、何でも一番になることを望み、科学的能力は抜群だったが、極端に言語能力に欠け人を楽しませる会話が苦手だったとか、ジョッキー型のパンツを好みボクサー型は嫌いだったが、NASAが用意していたものは後者だった等々。皆さんも宇宙飛行士の面白いエピソードを本書で発見してみてください。