- 東京大学出版会
- 160ページ
- ISBN 978-4130633758
- 定価 2420円
戦前のノーベル賞では天文学は受賞対象に入っていなかったが、今ではソコソコに受賞対象になっている。それほどまでに天文学は、かつて道楽息子の遊び程度に見られていたが、今はホントに違うようになった。月面探査はもちろんのこと、宇宙論やブラックホール、太陽活動など天文学の諸分野は人間にとってとても役立つものとなった。
書店で本書を棚に見かけた瞬間、お店の支払いコーナーに並んでいた。そして、評者は「あぁ、天文学を学んでいて、そしてカルチャーセンターで講座を担当させてもらって、良かったなぁ」と感じ入った。これぞ、サイエンスのサイエンスたる本。科学を学ぶものは全員が本書を読まねばなりません。科学の負の側面、原子爆弾の開発は別ですよ、それでも原子力発電(評者は反対する!)や太陽発電も、科学的視点や技術がなければ未来はなかったじゃないですか。誰もが歩きながらイジッているスマホも、クーラーもなかったでしょう。
プリンストン高等研究所創立者・初代所長と現在の所長のお二人が熱弁する「なぜ」「不思議」は、究極ですよ。本書中程に記述されているカメラ、特にイーストマン・コダックの歴史の記事は貴重ですよ。多くの人が悩んでいるインスリンの記事も、本書で詳しく知ることができた。最後に本書に述べられている80人以上の科学者のコラムも一読の価値がある。科学史を真正面から学んでみたくなる本。