- 早川書房
- B5変型判、180ページ
- ISBN 978-4-15-050321-5
- 価格 714円
本書は、大きな特徴を持つ。相対性理論をやさしく解説したものでもなければ、アインシュタインの伝記でもない。すごい天文書なのだ。超新星→宇宙の距離はしご→膨張宇宙という冒頭部分からまずパンチ。若き日のアインシュタインを追ったあと、非ユークリッド幾何学から100ページあたりで皆既日食の話に入り、延々100ページにわたりヒアデス星団を構成する星の位置ずれ観測を追いかけているのだ。全編の1/3に渡ってですよ! これこそが、相対性理論の証拠第一号なのに、ほとんどの相対性理論書ではふれられていなかった。こんな本、今までになかったですよ! おかげで、評者が編纂している「今日はこんな日」データブック最大の資料の一冊にもなった。どうしてこんなに低価格なんだろう?
早川書店はSF小説シリーズで有名な出版社だが、おそらく会社内部に天体物理に深い造詣を持つ方がおられるのだろう。こだわり天文書評でも何冊か採用させていただいたように、時々びっくりするような好書を出版してくれる。本書もその一冊だ。