- 早川書房
- 208ページ
- 定価 924円
著者は、ニューヨークの有名なヘイデン・プラネタリウムの館長を長年勤め上げた天文学者。対して、評者は東京渋谷の有名な五島プラネタリウムで、15年間(長いのか短いのか読者の判断にお任せしたい)しか解説しなかった一介のヒラ解説員(一応解説係長にはなったが)。まぁ、その後同じ東急グループの会社に拾ってもらえ、22年間後輩解説員の指導と、プラネタリウム業務委託の営業に携わり、合計37年間プラネタリウム業界で働かせてもらった。おっと、この辺で止めておこう。
ともかく、著者のこの本、改題前の『忙しすぎる人のための宇宙講座』も楽しく読ませてもらった思い出がある。本書は電車の中でも気軽に読める(最近は座席で読書にふける方々を見かけなくなりましたね)文庫版。いいですよ! 明るい照明が煌々と照らす車内で眼鏡を外して、本に目を近づけて電車を取り巻く「宇宙」に思いを馳せるのは。
だから、前の席に座っているお爺さんお婆さんが、ビックリした目で見つめているのをチラ見するけど、凄く気になるヒマはない。文庫本だから当然だが、本書には天体や望遠鏡どころか、写真は1枚もない。全部文字ばかり。だが内容は濃く、天文に浸りきるばかりの本。まさしく宇宙水滸伝。ブラックホール・ダークマター・ダークエネルギーの話や、宇宙にはどこにも球形が当たり前なこと、不思議ですね。だけど面白い。お勧め!