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Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

誰も読まなかったコペルニクス  科学革命をもたらした本をめぐる書誌学的冒険

表紙写真

  • オーウェン・ギンガリッチ 著/ 柴田裕之 訳
  • 早川書房
  • 四六判、396ページ
  • ISBN4-15-208673-4
  • 価格 2,415円

後世一時期禁書とされた「天球の回転について」を徹底追跡した調査書。ページをめくるたびに高揚感が湧き出る好書だ。もちろんノンフィクション。そして著者は欧米天文学史学界では知る人ぞ知る人。きっちり推論を組み立て、実証していくさまはやはり科学者の筆致である。題名の「誰も…」は、作家ケストラーがその作品「夢遊病者たち(※)」の中で押した烙印。だが、この世にコペルニクス的転回をもたらしたほど大きな影響を与えた本が、そんなはずはないとの動機から数々のエピソードを発掘しながら、世界中をくまなく調査しまくったその知力と行動力に、読者の皆さんは圧倒されるはずだ。出版数の少なさを、読んだ科学者たちによる余白への書込がネットワークを作り、補ったのだ。

※一部邦訳あり。河出書房新社小尾信弥/木村博訳現代の科学43「ヨハネス・ケプラー」1971年初版発行。古書店でないと入手できない?数少ないケプラー研究書の一冊。

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