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重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち

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重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち
 

  • ジャンナ・レヴィン 著、田沢恭子・松井信彦 訳
  • 早川書房 刊
  • 19.7×13.8cm、296ページ
  • ISBN 978-4152096197
  • 価格 1,728円

原題「Black Hole Blues and Other Songs from Outer Space」も女性好みのロマンチックなものだが、内容はどうしてどうして。おそらく近年(重力波が注目されるようになったのは近年だけだが)最高の重力波の本だ。重力波に関する本質的な問題はもちろんのこと、ウェーバーをはじめ、初期の重力波研究者群を作ったホイーラーやワイス、ソーン、ヒューズ、ドレーバーらに面会し、そのインタビューを記事にした本。本題名からも、著者はまるでサイエンス・ライターかと思ったら、コロンビア大学の歴とした物理学・天文学教授である女性。

名実ともに凄い本と申し上げて良い。しかもそれが伝聞ではなく、つまり耳と目だけではなく著者の足と脳で稼いだ、それでいて難しくはない理解しやすい本だ。個性的人物だった、そして重力波観測のパイオニアと言うべきウェーバーの苦労話、その悲劇的死と最後まで連れ添った妻トリンブルの物語は語るも涙だ。著者の女性らしい感性の故だろう。

もちろん、後半の大部分を占めるLIGO(2015年9月14日に世界で初めて重力波の直接検出に成功した、米国のレーザー干渉計型重力波検出器。参照:アストロアーツニュース「アインシュタインの予測から100年、重力波を直接検出」)が辿った、良しにつけ悪しにつけ、もみにもまれた開発史も、評者は本書でほとんど初めて知った。2回目の重力波観測に成功(2015年12月26日、参照:アストロアーツニュース「2例目となる重力波の直接検出、ブラックホール同士の合体で発生」)については、脱稿以後のことで触れられてはいないが、ともかく重力波発見迄の完璧な歴史書と言うべきだろう。ぜひお勧めしたい。

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