- 文藝春秋
- 18.8×13.2cm、255ページ
- ISBN 978-4163911076
- 価格 1815円
表題にあるとおり、本書は秋山豊寛・向井千秋・金井宣茂・古川聡・山崎直子・毛利衛・大西卓哉・油井亀美也・星出彰彦・野口聡一・土井隆雄・若田光一の12名宇宙飛行士の貴重な経験とそれに基づく貴重な意見が語られている。実に貴重な本である。
たとえば地球上には水も空気も大量にあるから、若干汚してもたいしたことはないと考えていたが、ISSに行ってからは正反対に変わったという油井さんの話。海が青く見える、マーブル地球だからと言って、チベット高原の氷河を撮影しようとした際、余りにもそれが少ししかないことに衝撃を受け、地球環境の壊れやすさを痛いほど痛感したという。一方、例の台風19号による莫大な水害。科学技術や医療などは相当にデカいかもしれないが、大部分の人は地球系の現状には気づいていない。
大西さんは、マーブル地球が点のように小さくなる火星に行けば、きっと安心感は消滅するだろうと予想する。火星や木星など帰ることができなくなるほど遠くに行くと、精神では計り得ない不安や恐怖に陥るはずと断言する。ISSからの帰還時に、喩え得ない心細さを感じたそうだ。宇宙に行って人生観が全く変わったという。その他、宇宙に行った後、超新星発見、米国のライス大学で天体物理学の博士号を取得した土井さんや、4度も宇宙に行き、4度目はISS船長になった若田さんの話も面白い、絶対お勧め。