- 朝日出版社
- 18×12.2cm、196ページ
- ISBN 978-4255010526
- 価格 1782円
本書の主題テラフォーミングという言葉は最近、他の新刊書や科学誌でチョクチョク見かけるようになったが、本書はそれを主題に取り上げたものである。テラ(地球)+フォーミング(造ること)と言葉通り惑星工学のこと。NASAでは惑星環境合成と呼んでいる。造語発案者は、有名なカール・セーガンで1961年作。ごく近年造られたものと思いきや、意外と古かったのですね。
かねてから火星においては、その完成までに1000年という遠大な期間がかかると言われ、夢物語の代名詞のようなものだった。その主な理由は、火星大気中の酸素濃度を十分に高めるのに長期間が必要とされると見込まれたためだ。本書は、その期間をいかに短縮できるかについて、各種研究機関がしのぎを削って調べ上げているかを紹介した著作である。今や2020〜30年代には、各国の財団やNASAなどで火星移住が企画されているのだし、もしかすると読者の皆さんの親戚や子孫の方々が、「やぁ元気ですか? 今火星はね…」なんて年賀状がやり取りされる(ただし火星と地球の正月は毎回異なることになるので、いつ取り交わすのかはややこしい)ことになるかも。
ともかく、火星のテラフォーミングを成功させるには、南極地域に日光を集中的に照射して温暖化させながら、一方では植物の繁茂によって二酸化炭素を減らし、酸素を増やして大気層を厚く濃くして太陽や宇宙からの放射線を防ぐことにあるのだ。現代人は皆本書を読みましょう。