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金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

究極の天測技法

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究極の天測技法
 

  • 鈴木邦裕、古莊雅生 著
  • 海文堂出版 刊
  • 25.6×18cm、249ページ
  • ISBN 978-4303206703
  • 価格 3,240円

池袋の有名S書店の科学書コーナーで本書と対面したとき、驚愕を感じた。こんな専門書が日本に登場したのかと思ったからだ。本書前書きにも、航海技法が盛んに学ばれている欧米ではこの手の本は珍しくないが、日本では殆ど出版されなかったとある。一般読者には余りにも離れた内容と考え、購入せず一旦引き上げたが、夢にまで出てくる始末。こういう本を読むのがプラネタリアンに必要ですと申し上げている手前、数日後再びS書店に行ったのだ。そうしたら、一冊しか置かれていなかった本書は当然売れていなかった。

本書の主テーマは、究極の天測法と六分儀使用法の説明である。実は筆者には六分儀に関する思い入れがある。学生時代、天文観測室に六分儀とトランシットが数台格納されていた。また擬似水平面を作るために水銀バットもあり、その昔は実習も行われていた。筆者は、天文専修生が一人しかいなかったため、独学でそれをマスターした。それやこれやで就職後、購入目的で神田の測量機専門店に行ったところ、16万円という価格にビックリし、スゴスゴ引き上げた悔しい思い出があるのだ。天測については日食計算法の権威と言われる鈴木敬信先生の最後の教え子で、本書にふんだんに登場する計算式が懐かしい。だが六分儀については独学である。なので、その使用法は初めてお目にかかったものばかり。13日の金曜日などのコラムも面白いですよ。

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