- 河出書房新社
- 328ページ
- 定価 2970円
評者は最近、時が過去から未来へとだけ流れ、絶対に未来から過去へは流れないことや、眼前1秒前は今ではなく30万km先に往ってしまっていることが、膨張宇宙のせいではないかと考えている。ビッグバンに始まった宇宙が、加速膨張を経てフリーズ宇宙に至るか、あるいはサイクリック宇宙になるかは別にして、ともかく時間が流れ、現在は過去から未来に行く途中であるということは、現代宇宙論と密接な関連を持っているのだ。
現代では電波時計という便利なものがあり、テレビからは時報がなくなった。惑星食、小惑星による恒星食などの観測の前と後に時計調整を行うためには117の電話時報が重宝することになったが、いずれにしても時を知ることは哲学なのだ。
本書を最初に“ある書店”で見かけたのが、あるカルチャーセンターでの講義開始直前のこと。時間がなかったので購入せずに店を出たが、その後近所の書店では見かけず、後日やむをえず再び“ある書店”まで出かけ、残っていた本書を喜び勇んでレジまで運んだという次第。おかげで時計の歴史をこれまでになく深く勉強させてもらった。紀元前263年のローマの日時計に始まり、中世から近世までの水時計・砂時計・鐘時計・報時球・天文台と時計(グリニジを初め天文台がテロの標的になったこと)など、本当に面白いですよ!