- 河出書房新社
- 18.3×25.8cm、95ページ
- ISBN 978-4309253268
- 価格 1,296円
副題がまるでピッタリの本。店頭で表紙の著者名を拝見して、あぁこういう時代になったのだなと感じたが、帰宅途中で中味を読んで今度はビックリ。評者も初見のトピックスが大量で、90個の項目全てがまさしく最先端の内容だ。
一つ例を挙げよう。第53章マグネター形成過程に紹介されたウェスタールンド1-5とマグネター星の関係図では、かつては同一星団の形成星で連星だったが、ある時重い主星がガスを大量に放出し、一部が後に等速自転するマグネターとなった伴星に捉えられて伴星は放り出され、超新星爆発を起こした。それによって、今度は主星が連星系ばかりでなく星団自体からも飛び出し始め、失踪(行方不明という意味)星となったと説明される。
評者が50年近く前となった学生時代、こういった星系は疾走星と習ったのだが、改めて辞書を引くとRun Away (Star)は失踪であって、疾走はRun Fastであることを知った。ともかく、ウェスタールンド1星団とマグネターの位置図がそれを如実に示している。
第一章のいちばんシリーズは、評者が実施させていただいているカルチャーセンターでの講座にもってこいの話ばかり。また、第二章以下も多数の知りたがり屋さんに絶対お勧めのもの。中でも変光星屋の筆者にとっては、超新星の話やベテルギウスが一番の妙薬。ともかく、星好きを自認するみなさんは、ぜひ本書をお読みください。