- ニュートンプレス
- A4変型判、159ページ
- ISBN4-315-51806-9
- 価格 2,415円
宇宙開発の今後20年を技術面から展望した好書。だが、読んで評者は考え込んだ。今や子ども向けプラネタリウムでもロケット・宇宙旅行は定番。人類が本当に月へ行くはずの20年後、その子どもたちは月面新婚旅行を考えるような時代ではないか。技術者のフロンティアだけではダメなはず。ジャーナリストこそロマン性を追求する視点を持っていてほしい。これから発展させるべき宇宙の観光的側面を一行でも書いてほしかった。
だが、すでに大人になった技術者集団の、辿り道についての記事は好資料だ。お得意の想像イラストの迫力で、技術者の夢がひしひしと伝わってくる。ロマンばかりではダメで、これまでの多大な犠牲の上に失敗を繰返さぬよう、綿密緻密な技術力が必要なことは言うまでも無い。有人火星探査のこれからを読んで特に実感する。なにしろ、火星到着まで1年以上さまざまな危険と隣り合わせなのだから。