- ニュートンプレス
- 27.4 x 20.8cm、159ページ
- 2010年1月
- ISBN 978-4315518726
- 価格 2,415円
評者は、天文の年鑑類と画像集を毎年購入している。年鑑類は仕事上どうしても必要なものなので、1965年の大学入学以来欠かさず買っており、したがって我が書斎コーナーの相当部分を占有し、地震の際の大変な驚異になっている。それに加えて近年は外国出版社版画像集も購入するようになり、年鑑類に負けず劣らず危険な状態となっている。
それでもこれらの書物を入手するのは、その一年の間に宇宙世界ではこれほど神秘・不思議のベールがはがされ、片や人間サイドではこれだけ確実に技術が進み、科学も進歩したと言うことを客観性とともに証明することができるからだ。それによって、評者の仕事である天文普及に自信を持って臨むこともできる。どうぞみなさんも毎年購入して現代天文学史の生き証書としていただきたい。
本書に掲載されている超新星残骸「1E0102.2-7219」や「くらげ星雲」の不思議画像を数人の女性に見せたところキャアキャア言って喜び、なんでこんな形になったのですか?と聞かれた。すばる望遠鏡が系外惑星(候補)の直接画像撮影に史上初成功したGJ758などは天文オリンピックの金メダルである。
古くはボイジャー、新しくはカッシーニ探査機の惑星画像の一枚一枚にかつては心をときめかせたものだが、今やその眼は確実に恒星界、大宇宙界に広がった。その一つ一つを、本書は探査衛星や大望遠鏡の一歩一歩の発展の跡を、居ながらにして辿らせてくれる。天文勉強の醍醐味は本書にあり。世界天文年を脱皮して、それを大きな一歩の踏み台にして「天文学は宇宙に羽ばたく」、そんな状況を示してくれているようにも思える。