- ニュートンプレス
- 144ページ
- 定価 1480円
一昔前までは、宇宙はビッグバンやインフレーションで始まったということばかり語られていたが、やっと最近になってビッグフリーズやビッグリップなど終わりのことが主に語られるようになってきた。それは、現に宇宙が目に見えて存在していることがあるからだが、目に見えないダークマターやダークエネルギーのことは、ほとんど判っていない。しかしながら、それらが存在していることは判りつつある。
本書には宇宙の終わりについて、現時点でどの程度明らかになっているのかが詳細に語られている。たとえば、太陽の明るさが20億年後には現在の1.2倍、60億年後には2倍になると、極めて精度良く数値が推定されるようになった。それによって、確実に地球上の全生命体は絶滅する。そして、膨張した太陽に地球が飲み込まれる運命にあることは間違いない。その60億年後に水素が尽き、太陽は膨張を開始し、80億年後には現在の170倍のサイズの赤色超巨星になる。
評者が赤色超巨星ベテルギウスの変光観測を続けているのも、それが原因である。本書はともかく面白い。皆さんにお勧めします。
約60億年後にM31と銀河系が合体完了するまで、生きていられたらいいなあ。