- 光文社 刊
- 10.7×17.1cm、239ページ
- 2014年10月
- ISBN 978-4334038243
わずか20年前には想像の翼の中にしかなかった系外惑星の世界。今や現代天文学の花形。筆者生涯の連れ合いアルゴルの、昔から第三体と称される謎の星が系外惑星ではないか、というニュースを今夜も夢見ている。ともかく本書は、近年多数出版されつつある同分野の出版物の中で出色であり、内容の充実度、情報量の多さでは一番だと断言できる。
筆者は、系外惑星の情報リストを個人的にではあるが天体別に編纂している。例えば有名どころでは、がか座β、ペガスス座51、コロー7、GJ1214などなど。本書を読んで一挙にその情報量が飛び上がった。と同時に、系外惑星の世界がこれほど多様化しているのを知って、今や我が太陽系は当たり前ではないことも知るに至った。神様は一体なぜこのような惑星系を創造したのか、まことに不思議でならない。かねがね面白い学問だとは思っていたが、一層天文学が面白くなったのである。
と同時に、本書第4章にあるように、観測方法は多彩で系外惑星の多様さに追従している。今や天文学の本質をこの分野に見ることが筆者は可能だと考えている。ケプラー衛星は一部の故障でその使命を終えつつあるが、すばる望遠鏡の活躍やそれに続く第二の波に乗って、おそらく21世紀は系外惑星探査の世紀と呼ばれることになるだろうと筆者は予想している。そして、そこに生きる生命を探査する世紀にもなるだろう。