- 光文社
- 17.4×10.8cm、280ページ
- ISBN 978-4334043742
- 価格 994円
最近、本書評で紹介すべき内容の天文書出版が少ないなと思っていたので、丸の内の有名書店を訪れた途端、やったぁ! と店頭で叫んでしまった。帰りの電車内で、評者は近々、古代人が考案した星座同様、銀河座から銀河群座、銀河団座、超銀河団座、ボイド座等々、具体的に提案しようと心に決めたのである。何故かといえば、目では見えなくても大望遠鏡なら空(宇宙空間)に、しかも3D的に見えているからだ。堂々たる現代的(星)座なのだ。
著者の松原先生は、この分野の著作が多い堂々たる宇宙論学者。どれもわかりやすく説明してくださる本ばかりで、本書も以下同様。前書き冒頭の「私たちが住んでいる宇宙はどうなっているのだろう」がすべてであり、出発点でかつ終着点である。その間に階層としての恒星界、銀河集団、大規模構造、ダークマター、密度ゆらぎ、インフレーションがあり、ジーナス統計、ミンコフスキー汎関数(この辺から難しくなるが…)、赤方偏移、神の指とカイザー効果、バリオン音響振動、ダークエネルギー、宇宙の曲率(いやはや)、ここまで来ると評者は何を評して良いのやらだが、でもね、とても易しく判りやすく書かれていますよ。
従って、先ほど書いたように、本書は現代宇宙論者が何を研究しているのかがよくわかる本で、最近出版の天文書としては、一番におすすめできる本である。おかげで、評者の雑学天文大百科もメチャクチャメモ量が増えてしまった。本書あとがきも一読の価値がありますよ!