- 光文社
- 17.2×10.8cm、248ページ
- ISBN 978-4334044107
- 価格 907円
評者は、米国の宇宙開発史で何故アポロ計画をやめてしまったのだろうと、長年考えてきた。その理由が最近ぱっと判明した。きっかけは、アポロ計画の発案者で民主党員だったケネディーに代わって、共和党での大統領になったニクソンだった。ニクソンは、特定の航空機メーカーから政治資金を貰っていたのだろう、アポロ計画を中止させ、スペースシャトルに変更した。その後同じ党のレーガンが大統領に就任し、NASAの宇宙開発は政治に翻弄され、大きく後退した。要するに共和党政権による科学離れが起こったのだ。
そこに今回、筆者が書店で手にしたのが本書である。同じく共和党のトランプ政権が2017年3月に表明した「地球温暖化の研究にこれからはお金を使わない」である。地球温暖化や進化論までもフェイクニュースと片付け、世界のほとんどの科学者の意見に耳を貸さないという表明だ。これが米国共和党の多見だということを、本書で詳細に知ることができた。月の探査も地球大気探査も進化論までも、共和党員やその支持者は頭から信じていない、というより、科学や客観性が判っていないということのようだ。詳細は本書で。
評者はカルチャーセンターで、科学はダメだけれど宇宙は好きで毎晩星空を見ていますというご高齢の方々とお付き合いして、今からでも科学の勉強は間に合いますよとお手伝いしている。科学を勉強して良かったと思っている。珍しい参考書ですよ!