- 光文社
- 17.2×11cm、253ページ
- ISBN 978-4334044176
- 価格 1058円
度々申し上げていることだが、本書評で取り上げる基準は、プラネタリウム解説員が読むべき本として適するかにある。それから言えば本書は実にピッタリである。何故かと言えば、これから一派のお客様が生きていくに当たって心しなければならないことが書かれているからである。本当は米国の、科学が全く判らないと言われる評判のあの人にこそ読んでもらいたいのだが、日本語だから無理ですか。
たとえば本書にあるように、1967年5月23日皆さんはどうしていました? 未だ生まれておられなかった方は別にして、世界ではとんでもないことが起こる寸前だったのだ。キューバ危機の5年後でヴェトナム戦争開戦2年後、北極周辺で米軍のレーダーで強烈な電波が受信され、無線通信も不可能になった事件が起こった。一時攻撃準備がなされたが、米空軍は可視光線と電波による太陽活動監視も行っていたため、攻撃は中止された。この時観測された太陽からの電波フレアは、20世紀で最大のものになった。要するに米ソ戦争が回避されたのだ。太陽観測がもし行われていなかったなら…考えるだけでも恐ろしい。皆さんはいなくなっていた、または生まれてこなかったかもしれないのだ。ところがこれだけでは済まない。太陽がたまたま静穏だっただけで、スーパーフレアなど、これからは頻繁に起こるようになり、GPSも使いようがなくなるかもしれないのだから。お読みください。