- 光文社
- 488ページ
- ISBN 978-4334962449
- 定価 2640円
本書評の広告で出版を知り、本書を求めていつもの丸の内のM書店に行き、在庫案内を調べたところ、意外にも宇宙科学書コーナーではなく、考古学書のコーナーに1冊だけあることが判り、店員さんに同コーナーを教えて貰い、発見。同書店で考古学書本棚の前に立ったのは初めてだった。さすがM書店! 本書は副題の通り、紛れもなく宇宙科学書ではなく考古学書である。
大学で考古学は学ばなかったが、地質学や地形学は学び、地質巡検にも参加させてもらったが、それらが宇宙からの巡検に役立つとは、今まで思ってもみなかった。それが今や地球観測衛星によって、現実の話になったのである。本書を熟読しながら、時代はめまぐるしく変化しつつあると確信したのである。そして、人工衛星による探査から得られた情報は遺跡の発見ばかりでなく、その保全にも役立っていることを本書から知った。つまり集落の跡や道路跡、墓地、神殿、ピラミッドなどの大規模建築の発見ばかりでなく、盗掘跡の小穴の発見といった細かなことまで、宇宙から判ってしまうのだ。
この時代、考古学上の発見は現地での密な掘削ではなく、宇宙からの探査で在宅デスクワークで可能なのだ。また、それによって、地球規模とはいわないまでも、ローカルな視点でも探査可能となったわけ。いやはや時代は変わったことが本書で実感できる!