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Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

メロスが見た星 名作に描かれた夜空をさぐる

表紙写真

  • えび名 博、えびなみつる 著
  • 祥伝社
  • 新書判、260ページ
  • ISBN4-396-11025-1
  • 価格 819円

学生時代天文部で写真撮影に熱中された高校の国語の先生が書いた本。著者の個性が良く表れ、繊細で星への愛情がほとばしる筆致に好感が持てる。国文学専攻の方が書かれた星の本って、ありそうで少ない。英文学者の野尻抱影さんや草下英明さんをその意味では超えた。ただし、題名からわかるように研究書ではなく、気楽に読める評論で、星空文学散歩だ。第一部は現代文学編。太宰治や宮澤賢治、稲垣足穂から、瀬名秀明や森絵都、椎名誠まで、15名16作品。第二部は古典文学編。新約聖書や竹取物語、論語から、枕草子や更級日記、奥の細道まで、13名14作品。とかくありがちな、ギリシャ神話やチョーサーなどの中世英文学などがまったくない珍しい本。東洋・日本の文学的天文アプローチに関心をお持ちの方は、ぜひ本書をお読みいただき、その上で日本人論を語っていただきたい。作品紹介後の星空案内は、弟さんの漫画家えびなみつるさんが執筆されている。

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