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超巨大ブラックホールに迫る 「はるか」が創った3万kmの瞳

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超巨大ブラックホールに迫る 「はるか」が創った3万kmの瞳
 

  • 平林久 著
  • 新日本出版社
  • 22×15.6cm、160ページ
  • ISBN 978-4406061193
  • 価格 1620円

評者より3歳年上の先生については、国立天文台にご在籍の時代から、そのご名声と野辺山に関わっておられる事柄を、渋谷の五島時代から存じ上げていた。本書は控えめに書かれてはいるが、その立派な一代記だ。随所に先生のご趣味やご家族についての紹介も書かれており、先生の温かいお人柄が行間に滲み出ている本書は、それ以上にMUSES-BやVSOP(ウィスキー好きの野辺山の皆さんによる命名)とその延長線上にある「はるか」に関する、他では決して聞くことができないエピソードが満載な本である。

強烈な人格で間違いなく軍事衛星開発に走っている某国の指導者は足元にも及ばない高邁な宇宙開発が、なぜか文系思想が支配的な我が国でもしっかりと命脈を保っているのかは、本書をお読みになれば誰もがきっと判るだろう。一言で言って「美しい宇宙のことを知りたい!」である。

本書で肝心要の個所は、131ページ以下の「3万kmの瞳で見えてきたこと」にある。わずか10ページ余りではあるが、超巨大ブラックホールに関する知識がギュッと集約され、普通なら単行本1冊に相当する内容を、いとも容易に読み切ることができる。先生の文才を感じることができますよ。と同時に、宇宙科学を学ぶことを楽しみ、そして開発者の喜びと苦労を読み取ることもできる、寝ながら読んで心安らぐ本。お勧めしたい。

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