- 誠文堂新光社
- A5判、159ページ
- ISBN 978-4-416-20921-9
- 価格 2,310円
本書は月の地質学者・地形学者であった白尾氏が全力を傾けて書かれたであろう月の本で、個々のクレーターや地形を案内するガイドブックと銘打たれているが、むしろ「月の観測に必要な百科事典」である。地形の特徴や歴史・成因などを説明している本文も面白くて役に立つのだが、それ以上に参考になるのが多数のコラムなのだ。
月の知識を増やしたいとお考えのみなさんは、ぜひ本書のこの欄を熟読されたい。たとえば「縁(ふち)の海」。なぜか日本でだけ1967年以来、月に「緑(みどり)の海」があるわけが明快に解説されている。評者が持つ月の洋書にも、確かにその位置に「Mare Marginis(縁の海)」としてしか記入がない。
どのページにも白尾先生が撮影された月面写真が掲載され、いずれも素晴らしい!の一言。本書は宝物になるだろう。