- 誠文堂新光社
- A5判、143ページ
- ISBN 978-4-416-20925-7
- 価格 1,890円
天体観望会やプラネタリウムで、みなさんから何度「望遠鏡を買いたいのだけれど…」というご質問をいただいたことだろう。いつも5cm双眼鏡で変光星アルゴルを観測している評者だが、こう見えても、昔(天文少年だったころ)反射鏡を磨いたし、今でも10cm屈折望遠鏡を一応は愛用している。
だがそのたびごとに、手ごろなガイドブックがなく、長々とつたない説明でお茶を濁しつづけた。いっそのこと自分で本を書いてしまおうかと、何度となく考えたが、望遠鏡を何基も購入できる資金も無く、文筆の才能も無く、しかも作画に至っては人にお見せできるほどの画才が無く、泣く泣く執筆は諦め続けてきた。
そんな一生の中で、ついに評者は本書を見つけ出した。本書を書くのにもっともふさわしい、このためにお生まれになったと申し上げても良い、えびなみつるさんが執筆、というより作画された本である。えびなさんもおっしゃるように、初心者向け望遠鏡ガイドブックは、絶対に絵が必要だ。文章で長々と説明するより百発百中、絵を使ったほうが理解できる。
実に適切な(わかりやすい)絵を書いてくださるえびなさんの作品なので、評者は望遠鏡を買いたいという方に「まずこの本を求めて検討してください」と言うことにしている。もちろん、見開き左ページの絵ばかりでなく、右ページの説明、というか随筆、も読んでいて実に楽しい。えびなさんの体験談が一杯に詰め込まれているのだ。「望遠鏡を買いたいのだが…」と相談される立場におられる方々にも、ぜひ本書をお読みいただきたい。