- 大和書房
- 192ページ
- 978-4479393443
- 定価 1650円
のっけから申し上げるのもナンだが、90分でわかるなんてとても無理。評者が熟読完読するまで3日かかった。でも、本書はブラックホールに関する最近出版の書籍の中で、最高の本。しかも、研究者としての著者の人柄が溢れて出ていて面白く、読みやすく、しかも判りやすい。カサハラテツローという漫画家による漫画ストーリーも面白い。随所に出てくる福江純という研究者と、アルというマセガキの会話が楽しいですよ。
実は、評者完読後、真っ先の感想は、「ブラックホールがこれでホワイトホールになった」である。いや、その、正規のホワイトホールではなくて、ブラックではないホワイトという意味の。だって、そうですよ、ブラックホールが白く見えちゃったのだから。イベントホライズン望遠鏡が明らかにしたブラックホールシャドウの写真発表は、皆さんよく覚えておられるでしょう! たったの1年そこいら前の記者会見だったから。その30年も前に本書著者らがブラックホールのカラー可視化を発表した。そのころ、評者は五島プラネタリウムで解説台に立っていた。が、ブラックホールについてはチンプンカンプンだった。今や、本書を読み終わって大変化した。それと共に、本書186ページにあるフェルミ加速器研究所所長の言葉が気になって仕方ない。国の国防に役に立つのかの議員の質問に、米国を価値ある国とするために役に立つと答えたという。どこかの国の総理に聞かせたい言葉だ!