- 筑摩書房 刊
- 17.5×10.6cm、204ページ
- ISBN 978-4480068392
- 価格 821円
一言で言って「面白い」本。著者は東大大学院出40代若手バリバリの安全工学博士。翻って当方は、歩く時何時も「三角形の一辺は他の二辺の和よりも小さい」定理を考えながら道を選んでいる変な理系老人。だからこそ、昔の社会人時代、文系上司の振る舞いに悩み続け、今に至っている。昔は理科系文化系と言ったのに郷愁感を抱く古代人でもある。
まさに各章各節頷きっぱなし。おそらくあの人々は理系アレルギーだったに違いない。暗記だけの受験勉強の性でしょうね、…と本書読後はほくそ笑んでいるが、その昔は寝言であの野郎! と叫び、家内には迷惑をかけっぱなしだった!
ともかくぜひみなさんにも熟読を期待したいが、時間がない方なら、各章各節最後に記された一二行の網掛け太字部分をメモ書きしていただきたい。それだけでも十二分に著者の主張がご理解戴けるだろう。中国の江・胡・習三代国家主席が理系であることも。
また、本書中には種々な名文句が記されている。著者中田氏の「理系知識は生鮮食品だ」、「理系学問は唯物論だ」などは、50年来相も変わらず食変光星アルゴルの観測を続け、それが最新のデータだと言い続けている者にはずしりと重くのしかかるし、かつては洗礼まで受けた現代の隠れキリシタンも、認めざるを得ない言葉だ。みなさんも本書中に多数の名文句を探索してみるのは如何だろうか。