- 筑摩書房
- 17.2×10.6cm、237ページ
- ISBN 978-4480683564
- 価格 946円
評者は、半世紀前の学生時代からその授業中に「哲学者は宇宙をどう捉えているのだろう?」と疑問に思い、参考書を探し続けてきた。本書と出会って、遂にその思いが成就した。なぜかと言えば、科学者が言う宇宙=哲学者が言う世界だからだ。本書では、それがすべて宇宙に統一されており、おまけに最終章の第三章では、宇宙人が持っているかもしれない知性まで語られている。
カルチャーセンターでの受講生の中にも、大学で哲学を専攻したという方々がおられ、それをもってしても、哲学がいかに宇宙と結びついているかが判るというもの。だってそうでしょう、古代ギリシャ哲学の祖プラトン(本書第一章をお読みください)のコスモス論や、あのデカルトもニュートンも、かつては(自然)哲学者と呼ばれ、カントに至っては「カント・ラプラス説」と呼ばれる太陽系成因論まで作ってしまったのだから。カントについては、本書第二章に詳細に語られている。
だが、その後のとくに日本人哲学者の著書には、なぜか一向に宇宙観が見当たらない。日本人には宇宙論や天文学は向いていないのかもと、これまで思ってきたほどだ。そこに本書の登場。だから、次回の講座時に、哲学専攻の方々に本書をお勧めしようと目論見中。
日本の哲学者を名乗る皆さんにも、もちろん他の方々にも本書の精読をお勧めします。