- 筑摩書房
- 176ページ
- 定価 858円
本書を書店の科学書コーナーで見かけたとき、評者は一瞬錯覚に陥った。ここ、SF書コーナーかな? と。辺りを見回してホッと一安心、科学書コーナーだった。ただし、科学書の新書版コーナーだったから、純然たる硬い科学書ではなかった。電車の中で読んでみたら、そりゃオモシロイの一言! 70代の評者が言うのだから、嘘じゃない。
読者の皆さん、毎年3月14日が3.14だから円周率の日だって、ご存じでした? その日はホーキングの命日であり、かつアインシュタインの誕生日だということも、ご存じでしたか? 改めて、評者編纂の天文カレンダー、天文学者の誕生日/命日一覧を確認してみると、間違いなしだった。オモシロイですねぇ。
本書には、超面白い話題が満載である。たとえば、おとめ座のスピカは太陽質量の11倍と7倍の恒星からなる連星で、重いほうは太陽の8倍より大きいので将来必ず超新星爆発を起こして中性子星になることや、たて座VYという星は半径が太陽の1700倍もあり、恒星サイズのランキングではトップを走るランナーであること、グレートウォールと呼ばれる構造の長さは14億光年、高さ3億光年、厚さ1500万光年、うお座銀河団の長さは10億光年、RX0822-4300という星は秒速1500kmというとんでもない速度で動いている、…等々。この面白さ、話題の豊富さの李湯は、著者がケンブリッジ大学でホーキング博士の直弟子だったからだろう。お勧めします。