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Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

1秒って誰が決めるの? 日時計から光格子時計まで

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1秒って誰が決めるの? 日時計から光格子時計まで
 

  • 安田雅美 著
  • 筑摩書房 刊
  • 17.3 x 10.7cm、167ページ
  • 2014年6月
  • ISBN 978-4480689184

6月10日、つまり「時の記念日」に刊行された本。スゴイ時代になったものだ!それが本書を読んでの第一印象。だってそうでしょう?著者が研究しているイッテルビウム光格子時計では、1018分の1秒の精度で時が測定可能という。と言うことは、目の前(網膜の前)3/1000万mmは既に過去と言うことだから。この距離を光が1018分の1秒間に走るのだ。手指の先なんて、とうの昔のもの。シリウスが8.6年前の姿だといってのんびり構えていたのすら、これまたとうの昔の話となった。

時に関する研究書は昔から2種類があった。片や哲学的に時(の流れ)を論じたもので、言い方を別にすれば時間論である。時間の流れが人生にどのような変化をもたらすかという論議で、正直言って筆者は読むと眠くなった。もう一方は、時の計測に関する技術論で、こちらこそ天文学の1分野である。もちろん筆者がこだわり天文書評にご紹介するほどだから、本書は後者に属し、全く眠くならない本である。

暦の歴史から、振り子時計・航海時計・標準時・原子時計の発達史まで、時の測定について詳細に説明されており、本書はそれを概観しようと希望する人々にとって最良の指導書であると、筆者は考えている。しかも、現代の原子時計について一章を割いてわかりやすく説明されているのは、第一線の専門家だから可能なこと。原子時計使用で地下内部構造の探知や癌の発見も可能なことは、ぜひ本書で学ばれたし!