- 東京電機大学出版局
- 21.1×14.7cm、496ページ
- ISBN 978-4501630409
- 価格 2,700円
あと2.5年で半世紀。評者は、その時の出来事こそ20世紀に人類が成し遂げた最大の事業だったと考えている。従って、そのことを微に入り細に入り知ることは、文化史上最大の知識だとも捉えている。それが、アポロ11号による月面着陸と帰還である。
本書は、その意味でこれまで出版されたアポロ関係の本の中で、最高峰にあると断言できる。当時、ある私立中学高校の教師をしていた評者が、尾瀬の林間学校に口径8cm屈折望遠鏡を持参し、アームストロング船長らが歩いていたはずの月面を、プール脇から生徒と共に覗いていたのを、昨日のことのように思い出した。だがそのときから最近まで、本書記事の最大部分、そして最も参考になると同時に、これまでの本の中では大局的にほとんど知ることができなかった技術の流れについて、極めて詳細に記述されている。だからこそ、本書は東京電機大学という技術系の出版社で刊行されたのだ。面白いですよ!
幸いなことにというべきだろう、数式はほとんど無く、米国のマサチューセッツ工科大学(MITとして著名)技術・製造歴史学科教授という肩書きを持つ著者が書き、慶応大学のシステムデザイン・マネジメント研究科を卒業された方が訳された、まさに本書に適任の方々で、非常に読みやすい。だが、内容が非常に濃く、評者は完読にほぼ1か月を要してしまった。サーッとでも良いので、お読みいただくことをぜひお勧めしたい。