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宇宙飛行士、「ホーキング博士の宇宙」を旅する

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宇宙飛行士、「ホーキング博士の宇宙」を旅する
 

  • 若田光一 著、小山宙哉 イラスト
  • 日本実業出版社
  • 208ページ
  • ISBN 978-4534057983
  • 定価 1540円

200ページ有余に、48ものホーキング博士の名文と若田宇宙飛行士の洞察が記されている。一文一文深く考えさせられるものばかり。たとえば宇宙人が地球を訪れてするかもしれない恐怖の一つが、コロンブスがアメリカを訪れて現地の人々に行った散々な行為に匹敵するもの。原住民は元々その地に住み活動していたのに、ですよ。反対運動を取り締まるための治安当局の暴力に抗議する大坂選手のマスクですね。評者はあのマスクこそ、ノーベル平和賞受賞候補だと考えている。高砂族と呼ばれ中国人ではなかった人々の住む島に、本土から逃げて来た中国人が定住し、中国政府は自分たちの本来の領土だと称して軍事威嚇している。いやはや、何百年も何千年も、地球人類は同じ事を繰り返しているのだ。

だが、本書には沢山の夢と希望がある。もちろん、ホーキング博士は宇宙のことばかり考えていたわけではないだろうが、娘さんが生まれて数日後、ブラックホールが本当はブラックではないことに気づいたとか、地球外高等生物は、思いやりで地球生物を見守っているのかもという言葉を読んで評者は、蚊は叩き潰さず線香で遠ざける、あるいは横切るアリは踏み潰さず、遠回りするようになった。60億円かけて2回パラボリックフライト(航空機で体験する無重力飛行)を、ホーキングさんは経験していることも本書で初めて知った。選者若田さんによる宇宙に関する数多くの素晴らしい注釈も感動もの。ぜひご愛読を!

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