- 日本評論社
- 19.7×13.6cm、330ページ
- ISBN 978-4535787827
- 価格 3,024円
新宿の大書店で購入後、京王線の車内で読み始めた筆者が、老眼鏡を外し、本書を目の近くまで持ち上げて読んでいると、対面席からジーッと、多分本書のタイトルを見つめるおばさんが居た。そのとき私は「私が対面席から見られていた」のだ。
著者は欧州天文学会会長、英国国立宇宙センター長、王立天文学会代表幹事を歴任した歴とした天文学者。兼1971年銀河系最初のブラックホールの発見者である。また、この人こそ本書で「21世紀は宇宙生物学の世紀」と言った人。そんな本書だから、当然主題はブラックホールではなく、表題にピッタリの宇宙生物学である。
原始惑星系上での生命の発生から、進化、絶滅などを経て、これからの太陽系での生命探査や系外惑星探査など、本書から学び取る最新情報は膨大にある。評者が最近最も関心を持っている「宗教とは何か、天国や地獄は誰が設定したか」にまで、深くヒントを与えてくれる内容だ。ただし、本書の記事は、これまでの本分野の発展史であって、これからの展望ではない。と同時に、勿論本書には「誰が私たちを見ているか」については書かれていない。この誰かを見つける旅は、まだ出航したばかりであることは、著者のおっしゃるとおりである。船の舵取りは皆さん一人一人。どうか本書を海路の案内役として、人間という存在を知るための果てしない船旅にお出かけください。