- 日本評論社
- 21×15cm、132ページ
- ISBN 978-4535788459
- 価格 2376円
ページ数こそ大部ではないが、内容は濃い。数式が苦手の方には少々荷が重いだろうが、これこそが飛翔力学の神髄である。要するに入門書ではあるが、これを理解し、使いこなさないと探査機の軌道計算はできないということ。だから、この分野に関心を持つ人は、是非本書を読みこなして欲しい。
本書前半は同力学のトレーニングの記事だが、一昨年7月に冥王星を訪れて経過し、今は2019年元旦にカイパーベルト天体2014 MU69を訪れるはずの、後半86〜103ページまでのニューホライズンズ関連記事は、評者が知る限りに置いて最も詳しいもの。本書では同天体が原始太陽系の化石と表現され、太陽系の歴史を紐解く上で重要なものである。その意味で、大きな新発見が期待されているのである。それを期待する前に、同訪問のあらましを知っておくことは重要である。
またそれに続くページには、かつて木星・土星・天王星・海王星への接近のたびごとに胸のときめきを誰もが感じたあのボイジャー計画、別名グランド・ツアー計画と呼ばれたものが描かれている。今では遂に2機共に末端衝撃波面であるヘリオポーズを脱出しつつあり、遙か恒星界へと旅立とうとしている。20世紀最大の大イベントだったアポロ11号と共に、今は歴史的大偉業となっていることを、本書からぜひ学んでいただきたい。