- 日本評論社
- 216ページ
- 978-4535788633
- 定価 1870円
第一章いきなりコロナ(と言ってももちろん新型…ではありません)と太陽風ですよ! これって、今までの太陽の本にあり、ですか? 続いて太陽磁場。さらに第三章ではコロナ加熱と太陽風の加熱。ウゥン、これまで普通の太陽の本は黒点から始まり、プロミネンス、フレアから一転、太陽の内部構造、太陽型恒星、こんな展開でしたよね。
実は50年以上前、筆者の学生時代、恩師鈴木敬信先生に真面目な顔をして「表面が6000度なのに上空のコロナが100万度なのは、どうしてですか?」と質問したら、さすが秀才と言われ、東大の先輩萩原雄祐元東京天文台長(共に故人)としょっちゅう大喧嘩していた先生が頭を傾げ、「わからん」とのたまい、評者は内心ほくそ笑んだことを思い出した。筆者によれば、この加熱機構は現在でもわかっていないという。
だが現在、地球温暖化で重要な役割を果たす太陽風のことは、半世紀前と異なり、喫緊な問題として詳細に解明されなければならず、評者は是非本書を読者の皆さんに完読をお勧めしたい。だが、心していただきたいのは、本書は最新の太陽物理学の本であり、「高校生から」ではあっても、並みの高校生が理解できる本ではない。大学生でも頑張る人でもなければ無理かもしれない。でもオモシロイですよ。第4章以下の計算器の中の太陽や、昔・未来・他の太陽などは、恒星物理学を毎晩学ぶ評者には最高の本なのだ。お勧めです。