- 白水社
- 536ページ
- 978-4560097137
- 定価 4840円
11月下旬のある日、宅急便で段ボール入りの小荷物が送られてきた。恐る恐る開けてみると、出てきたのが本書。早速現在評者が観測しているアルゴル(ペルセウス座β)とベテルギウス(オリオン座α)の記事を読んでみた。あいにく前回の食を実測し、評者はなんとか生きていようと思っている2035年ごろに次の食を起こすはずの(変光周期27.1年)長周期食変光星アルマーズ(ぎょしゃ座ε)や長周期変光星ミラ(両星とも発見が近世以降なので、文化史的には価値がない)については書かれていなかったが、ともかく多彩で正確無比。さすが後輩と言っては申し訳ないが、勉強になる本です。
7年前に出版された同書の改訂版、と言うより大幅増補版。前の版も熟読玩味した。何しろ評者の大学16年も後輩の著書だから。今回の改訂版も先輩なんて偉ぶってはいられない「星の文化史」の大書である。天の川のみでも45項目もあるのだ。天文学書ではなく、民族史と申し上げた方が良く、プラネタリウム解説員が職場ですぐに利用できる本として、お勧めしようと思う。天文道・天文暦学・天文神話も簡潔に読みやすく書かれており、天候などの関係で観測ができず、寝床に籠もる夜も時間が気楽に過ごせる、何しろ本文だけで500ページ近く、索引が50ページ近い大書だから、読み甲斐がありますよ。評者も知らなかったことがメチャクチャ書かれているので、皆さんに是非お勧めします。