- 白水社
- 17.9×11.4cm、150ページ
- ISBN 978-4560510124
- 価格 1296円
最初に申し上げるが、評者は近年出版された隕石関係書中(というより近年出版される単行本は殆ど皆、宇宙論やブラックホールなんぞやばかりで、隕石専門書は稀と言ってよく、本書評中でも珍しいが、ともかく)最高! さぁーと読み終えた後、万歳三唱・拍手喝采した本。かのアリストテレスなんぞは、宇宙から石が落ちるなんていうことが、神話は別として絶対に有り得ず、強風に巻き上げられた地上物だと言い切っていた。それが地球外からの飛来物だと確信されたのは、単なる観察からではなく、科学(特に分析化学)の発展によることが、本書を読めば納得されよう。現在は、発生音分析で隕石質量が判るそうだ。
取りも直さず、著者がパリ国立自然史博物館教授で、監修者が国立科学博物館理化学グループ部長で理学博士、共に宇宙化学・隕石学の権威である方々なのが、その要因である。評者は、隕石学・地球化学の権威で五島プラネタリウム学芸委員・評議員をなさっておられた故村山定男先生には深くご指導いただいた。実は、評者が五島で働かせていただけたのも、面接役をされたお二人の先生(の一人)だったことによる。そんなこんなで、隕石については当時から多少なりとも関心を抱いていたのだが、いかにも断片的・トピックス的な知識しか、これまで持てなかったのだ。しかし、本書が出版されて、事態は見事に変貌した。これからは、百科事典代わりに本書を傍らに置いておこうと思う。お勧めします。