- 原書房
- 21.2×15.4cm、464ページ
- ISBN 978-4562055692
- 価格 4104円
東亜天文学会誌「天界」に「天文民俗学試論」をご連載中、中断なさることがあったため、先生のご健康を心配していた評者。何故かといえば、五島プラネタリウム学芸委員を務められていた野尻抱影先生の優秀な後継者として著者は調査研究を続けておられていたためだ。全国津々浦々から評者がきいたことがない星の和名を収集記録なさり、出版なさったことは、誠に敬意に値する。書後書きには、幾度となく病魔に襲われた先生の熱き思いが語られており、読者の皆さんに、できることならその後を継いでいただければと、評者も思っている。ですが、大変ですよ。なにしろいろんな場所に出かけていって、取材しなければならないのだから。それも相手はお年寄りが多く、時間は多くはない。
最近、評者はDNA追跡による人類の拡散に思いをはせている。人類がアフリカを出て10万年、中東、欧州、インド、東南アジア、オーストラリア、中国、シベリア、日本を経て、アラスカ、北米、南米まで移動したという。実は大熊の尻尾(北斗七星のこと)が伸びた訳が伝説として広く拡散しているのだ。人類史・民族史に星座の歴史が大きく関わっているとしたら、面白くありませんか。その意味でも多数の皆さんに、単に神話やおとぎ話としてではなく、星座の話をご研究いただきたいのである。そして、皆さん方日本人の直系の方々が、どのように星を見ていたか知っていただきたいのだ。著者と共に…。