- PHP文庫
- A6判、235ページ
- ISBN 978-4-569-67054-6
- 価格 540円
「博学でなくったって良い、こだわりであれば」が評者の読後感である。なにしろ、本書巻末の参考文献には102冊もあった。これだけ読むって大変ですよ!本書評で評者は170冊を超える本を読むのに、なんと1年10ヶ月もかかってしまった。102冊完読するのにそのペースでは1年が必要になる。なので、博学になるのは大変なことなのだ!
だが、この本はほとんど1日を必要とせずに気楽に読めた。タイムリーな話題ばかりで、しかもほとんど考え込む必要がないからだ。寝転がっても、立ち読みでも、とりあえず宇宙の話がフリースタイルで読めますよ。
読者のみなさんに気をつけていただきたいのは、この手の本を気晴らしでなく、勉強のつもりで読む場合には、必ず関係専門書を左において読んでほしいことだ。ほんとうによく調べあげた記事ではあるが、例えば宇宙が開いているか閉じているかなど、対立する結論が併記されている場合(この本では現在はわからないと結論していることが多い)、誤差が書かれていないのだ。
とくに天文では観測で結論の判断がなされるが、観測誤差の中にその優劣が読み取れる場合が多い。文科系の方には申し訳ない言い方になるが、理科を勉強した人には常識である。博学の方にも、単に目先の話題性にとらわれることなく、科学の基礎の一つである誤差論の勉強はなさってほしい。結論を下すのはその先であってほしいのだ。しかし、本書で取り上げられている話題は、面白い。特に、科学普及の仕事に任じられている方は、話題を広げるために本書をおすすめする。