- PHP研究所
- B6判、224ページ
- ISBN 978-4-569-70007-6
- 価格 500円
「みるみるわかる」というタイトルが付けられたこの手の本は、トンデモ本であることが多く、書店の棚から取り出した瞬間「あっ、ダメ」、かえって「みるみるわからなくなる」と後悔することもしばしば。だが本書は「みるみるわかる」かは別として、時間という哲学的で科学的なものに、少なくとも限りない興味を抱くことができる点ではとても良いと評者は評価する。新聞の科学欄でも話題になった、欧州原子核研究機関(CERN)で今年行われる陽子衝突実験で、ミニ・ブラックホールが誕生するかもしれないことも導入で取り上げられており、そこからの第1章は一気に読み上げられる。中性子星を使ったタイムマシンの話など、みなさんにはとくにおもしろく読めるだろう。第2章はそのタイムマシンに関する本質的な話。タイムマシン発明以前の時代にはさかのぼれない理由とか、複数世界が同時平行的に存在できる(従って母親を殺してもそれは別世界のもう一人の母親)などの話が書かれている。第3章以下は佳境に入り、時間論の核心に入っている。時間論というと哲学的で、おもしろくなかったという思い出がある皆さん方も、一度本書を読むと、またそっち方面を勉強したくなるのではないだろうか。