- PHP研究所
- 15.2×10.6cm、275ページ
- ISBN 978-4569766676
- 価格 810円
評者の書評採用基準は幾つかあるが、先ず宇宙の年齢が137億年とあるのは完全に却下。確かに10年以上前なら最新知識だったが、いまやそれは遠の昔の基準となった。それに加えて、重力波やTMT、アルマ(アロマは論外)にJWST、γ線と超新星爆発によるニュートリノ、スーパーフレアや火星の水、第九惑星(冥王星でも惑星Xでもない)、ブラックホールに系外惑星、ラニアケア超銀河団とダーク(暗黒)エネルギーである。本書には、それが全て記述されているので、見事に合格。
実はもう一つ、ビッグリップというのもあるのだが、残念ながらそれは本書にはない。だが、ビッグリップはまだ定説ではないので、とりあえず除外しておこう。
というわけで、本書は「楽しむ本」とはいえ、なかなかのものなのだ。これは完璧に監修者の趣旨に違いない。もちろん数式は一つもなく、寝ころんで気軽に読める本。ただし、評者は寝ころんではメモを取ることができなかったので、ちゃんと机に向かって座って読んだが…。第一章に重力波が登場したのは、当然のことながらアインシュタインによる重力波予言100周年の2016年に発見されたからである。ともかくタイムリーな本。「楽しむ」だけでなく、最新天文学(宇宙科学)を平易に理解することができる本で、天気が悪い晩に夜更かしにはもってこいの本書である。