- PHP研究所
- 208ページ
- 定価 1980円
最近、とある話題がきっかけになって世の中で「天国」が意識され、「地獄」はどこかに消え去ったかのように見える。評者はかつてクリスチャンだったこともあり、実に複雑な気持ちである。今では、宇宙に天国はなく、地獄はあるとすればブラックホールの向こう側かもと考えていて、そもそも人間が神様や仏様を創造(想像)したとさえ思うに至った。だってそうでしょう、人間以外の動物や植物は、天国にいるのですか? ダニやゴキブリが天国に溢れていますか? 申し訳ないがそんなところに私は生きたくない!
本書第2章の火星や木星・土星の衛星に生命は存在するか? は、最高に面白い。かつて話題をさらった隕石ALH84001、火星探査機やローバーによって発見された火星の水という実体、世界各国の今後の火星探査計画は、まさに夢ですよ。本書ではそれが詳細に語られ、惑星保護という話も紹介されている。地球生命とは異なる種類の生命体すら存在するかもしれないとか、土星の衛星タイタンにはタイタン型細胞を持つ生命体がいるとか、まさにSF的な生命科学が本書では真面目に討議されている。面白いですよ。
第二部では系外惑星での生命体について記述されている。ケプラー衛星の後継機テスも紹介され、各種探査法についての説明もたいへん面白い。夢ばかりの本で皆さんにお勧めします。