- アストロアーツ
- 64ページ
- 価格 1650円
著者が書評を書くというのは、なんとも不思議な気分になる。本書はステラナビゲータが天文シミュレーションソフトウェアとして、著者のまさに右腕となって月刊「星ナビ」で連載中の「こだわり天文夜話」を支えてくれていると、読者の皆さんに知ってほしいという思いで執筆したことは事実である。
本書では29のシミュレーション例が紹介されているが、実のことを言えば、評者(著者)も、一体全体どのくらいの種類のシミュレーションが可能なのかは判っていない。それが必要になったときに発見となるからである。同時に、将来ステラナビゲータがどのように進化してシミュレーションのバリエーションが増えるのかということも期待しながら、完成した本に目を通した。
でもね、本書の一番の(そしてステラナビゲータの)特徴は、見事に美しい描図ですよ。たとえばあと3年後の2025年に迫る土星環消失、評者は3/4世紀の生涯の中で数回、環が消えた土星を望遠鏡で見ているが、その都度なんとも不思議な気分になったものだ。本書36ページに2022〜2031年までの地球から見た土星環の傾きの変化が図示されている。どうぞ読者の皆さん、シミュレーションで楽しんだ後にはお手持ちの望遠鏡でそれをご覧ください!