- 平凡社 刊
- 12.8×19cm、240ページ
- ISBN 978-4582503050
- 価格 1,944円
著者は現代日本で知らない人がいないほどのノーベル物理学賞受賞者。そういった人だからこそ書ける判りやすい本がこれ。故に購入された方も多いことだろう。だが、改めて本書第五章超新星爆発とニュートリノを読み返していただきたい。そして、1987年2月の南米での大マゼラン雲超新星発見と、それに続いた日本のカミオカンデでの出来事を思い出していただきたい。これこそが、日本人二人(小柴昌俊と本書著者)にノーベル賞授与が決まった最大の出来事となったのである。そしてニュートリノ物理学もニュートリノ天文学となったのだ。明月記に記された銀河系内超新星が、チコの星、ケプラーの星に続いて(といってもほぼ400年近い空白があったが)、最も近い他の銀河内に現れた。
ゆくゆくは我が銀河系内に夢よもう一度と、評者は毎晩ベテルギウスの明るさを測っているのだが…、まだですね。でも超新星爆発に於けるニュートリノの謎は、本書で大分解明されたので準備は万端である。ベテルギウスさん、一刻も早く爆発してくれませんか。なにしろ有史以来最近距離で爆発してくれるのだから。楽しみですよ。
だが超新星ばかりでない。宇宙線、太陽、地球内部のニュートリノまで、本書で詳しく判ってしまった。これまで間接的にしか判らなかった地球内部の物理まで、ニュートリノの研究で判るのだから、まさにノーベル賞級。凄いことですよ。