- 平凡社
- 10.6×17.2cm、247ページ
- ISBN 978-4582857917
- 価格 886円
まず著者の学識と出版社の見識に大きな感謝と拍手を送りたい。なぜか? 評者は本書を読み切るのに、2週間を要したからだ。そんなに分厚い本ではないのになぜか? 評者の第二書斎である電車のたびに携行している雑学ノートに、記事からの大量のメモと、同じく多数の数値データを書きまくったからだ。今時珍しいかもしれないが、万年筆のインクとノートのページを消費しまくったのである。
ともあれ、同著者の前著『気候変動とエネルギー問題』(中公新書)も読んだ評者は、その後の政治情勢の変化に大きく憤りを感じており、IPCCなどの動きに「本当にあなたたちはデータを大事にする科学者なのですか?」と問い返したい気持ちを新たにした。同時に文部科学省や気象庁、それに原発推進の総理大臣、本書にも詳細に触れられているクライメート事件って(ウィンドウズの変換で暗いメートと出た)本当にご存じなのですか。今や太陽物理学者の間では、本書で紹介されているように21世紀半ば(早ければ2030年頃)にはダルトン極小期クラス(既にランドシャイト極小期と命名済み)が、今後百年以内にマウンダー極小期が襲ってくるかもということ、ご存じなのですか。
心ある方々は、ぜひ本書を熟読なされたし。そして、科学的気候観とはこうであるべしとお考えください。CO2悪玉論はすでに時代遅れなのだ。