- 勉誠出版
- 19×13cm、306ページ
- ISBN 978-4585221968
- 価格 1944円
宇宙教育の父と呼ばれ、普及にも尽力されている的川先生がロシア語にご堪能で、ツィオルコフスキーをご研究なさっていたとは、本書を読むまで評者は全く知らなかった。しかもその伝記として、最優秀であることも予想が付かなかったこと。
その伝記は幼年時代に始まり、猩紅熱で聴力を失って引っ込み思案となり、科学と技術に目覚めた後、遊学先のモスクワでロシア宇宙時代を作り、ジュール・ヴェルヌと(その著作を通して)出会い、家庭教師をしながら教師になる勉強をして、死刑になった扇動家でロケット技術の考案者キバルチッチを知り、金属飛行船を発案し、自転車とも出会い、奇跡の年と的川先生が呼ぶ1903年、その6年前の1897年5月10日メモ化され、ツィオルコフスキーの公式化が発表されたのだった。もう115年も前のことだった。それが現在でも(キバルチッチと共に)ロケット飛行技術の基本のキとなっている。…なんていうことも、評者は恥ずかしながらまるっきり知らなかったのだ。
耳が不自由でも教師を続け、未来の世界(すなわち現代以降)を構想しつつ、残念ながらその将来をオーベルトやフォン・ブラウンとコロリョフへと引き継ぎ、生涯を終えたツィオルコフスキーの波瀾万丈な生涯を本書は見事に描き出しており、これまでに無い大伝記書となったのだ。宇宙エレベーターなどの閑話休題も注目ですよ!