- 丸善出版 刊
- 15×21cm、498ページ
- ISBN 978-4621089941
- 価格 3,024円
科学関係者が一番やってはいけない行為が、自分たちの説を通すためにデータを改ざんすることだ。かつてホッケースティック問題と称されて大問題になり、それが未だに尾を引いているのが地球温暖化を前提にした環境問題だ。評者は、これまでアルゴルの極小観測を420有余回、アルマーズ(ぎょしゃ座ε)を1100夜、ベテルギウスを460夜観測し続けてきたが、1回たりともデータ改ざんを行ったことはない。それが観測者唯一の生命だと考えているからだ。筆者が今から大学で気象学を学び、1年間毎日定時に百葉箱の前に立った(半世紀も前の話)時の経験から、百葉箱の設置位置や原始的測定器具の課題など、未だに改善されねばならない課題が未だに山積みの現状には誠に憂えるばかり。
そんな折、基礎データの取り扱いが困難な素人にも入手できる本書が出版されたのは、誠に喜ばしい限り。早速買い求め、年末年始を本書三昧した理由は、一にも二にもそこに理由がある。評者の期待に見事に応えてくれた。できることなら、本書改訂時もう少々、天文台お得意分野の地球を取り巻く環境、すなわち太陽活動との絡みや、数ある系外惑星系の中での太陽系の特殊環境などにも視点を向けて欲しいが、その分野の発展も今後いつ何時転向点があるか予想も付かないので、とりあえず基礎データ書として、本書を推薦したい。有資格書として本書しかないからだ。生命・地質に関心が深い方も、ぜひどうぞ!