- 丸善出版
- 18.8×13cm、212ページ
- ISBN 978-4621304075
- 価格 2376円
宮沢賢治作詞作曲の「星めぐりの歌」と「銀河鉄道の夜」からの書き始めは、いかにも銀河天文学者らしい。なぜなら、中学生時代、それまで虫少年だった先生を星少年に変身させたのが、1969年7月号の月刊天文ガイドの天体写真だったし、また畑中先生の「宇宙と星」、古在先生の「天文学のすすめ」、海部先生の「銀河から宇宙へ」だったからだ。中でも著者は、惑星状星雲の形状に大変魅力を感じ、その名称に違和感を感じて、望遠鏡を買ってもらい、意味を理解したという。要するに、学びはじめのころから、天体の形状に特別に意識をしたというのだ。
だから、本書の冒頭で、「星めぐりの歌」の第二パラグラフに歌われる「アンドロメダのくもは、さかなのくちのかたち」にこだわっておられるのだ。評者はその箇所を恥ずかしながらアッサリ見逃していた。だから、第三章以下が重要な意味を持ってくるのだ。渦巻銀河の典型と信じ切っていた評者は正しく恥じ入るばかり。著者によれば、アンドロメダ座大銀河は単なる渦巻銀河ではなく、リング銀河でもあるというのだ。つまり渦巻きの周りにリングがあるという。それが過去に多数の衛星銀河と衝突をしたために生じた証拠でもあるという。評者も知ってはいたが、いずれわが銀河系とも衝突し、銀河系を呑み込むことは、本書に詳細に語られている。絶対にオモシロイですよ。お勧めします。