- 丸善出版
- 1178ページ
- 定価 1650円
天文に関する年鑑や年表として、本書を抜かすわけはいかない。それほど古くから使われ親しまれているのが本書。なにしろ、本書は評者の小学生時代から学校の図書館に堂々とあったものだ。本書が第96冊とあることから、4年後の2027年版は第100冊となる。めでたく100周年である。
それはともかく、本書著者・監修者には、物理・化学・生物・地質・地理・地震など各分野での錚々たる学者・研究者・観測家が何百人も名を連ね、内容や精度の信頼度を高めている。正に理科の年表である。
なかでも評者が最近注目している事柄がオゾンホール。1980年代初めから毎年10月前後に南極大陸の上空でオゾンが少なくなること、まるで穴が開いたようになることである。いくつかの食変光星(アルゴル、アルマーズなど)やミラ型長周期変光星などの観測で光度曲線にとてもお世話になっているので、グラフには慣れている評者だが、環36(1042)ページにあるグラフにショックを受け、オゾンホールについて調べ始める決意をしたのである。幸いなことに、その面積とオゾンの最低量は共にその後変化が停止しているように見られるが、安心はできない。オゾンだけに限らず、理科には人類文明の生存に関わる様々なテーマがありますよ。ぜひ本書を一家に一冊お備えください。