- 山と渓谷社
- 224ページ
- 定価 1100円
お二人の解説者は、評者がいずれも良く存じ上げた優秀な方。前者は現在コスモプラネタリウム渋谷におられ、と言うより元五島プラネタリウムの解説員で、良き仲間だった方。後者はアストロアーツでお世話になっている方。だからというわけでは決してない。言わば天文が取り持つ縁繋がりである。
永田さんの星座の話は、評者の原点でもある。今は各地のカルチャーセンターで、講座冒頭でその晩21時の星空解説では、もちろんステラナビゲータを利用して代表的星座と天体解説から始める。受講者の皆さんにとって、スムーズに会話が進むからだ。やっぱり天文学は、評者ばかりか一般の皆さんにとっても星座や天体の話ですよね。だから現代の天文学者が「自分は星座を1つも知らない」なんてぬけぬけと言っているのを読むと、評者は無性に腹が立つ。だって、昔の天文学者は誰もが夜空を見て、あるいは望遠鏡を覗いて、一つ一つの恒星を知り、天体や宇宙についてなぜアレはそうあるのだろうと不思議に思ったことから、始まったのだ。古代の天文学者は、それを線でつなぎ、神話を想像するしかなかったが、望遠鏡が発明され、科学的に研究が進むようになり、現代天文学に到達したのだ。
廣瀬さんのお話も、インド天文学を研究したご経歴からギリシャやインドの宇宙観、日本人のそれ、宇宙の大規模構造・膨張宇宙論・宇宙人など面白い。お勧めです。