- 山と渓谷社
- 21×14.8cm、144ページ
- ISBN 978-4635062909
- 価格 1540円
変光星の明るさを測ろうと闘っているときのブーンは、ないですよね! 蚊の野郎と叫んでも意味ありません。50年以上の間、蚊との戦いだった! だから蚊取り線香と虫刺されの薬は、我が家では常備品。カヤは意味なし。評者作成のこだわり天文大百科でも、蚊学は大部分を占めている。本書の3名の著者は、日本衛生動物学会会長だったり、東京大学の研究者、蚊の分類学の研究者など、肩書・所属は5頁を参照いただきたいが、いずれも立派な蚊の姉妹である。実用蚊学の愛好者の評者など、とても足下に及ばない。
吸血する理由に始まって、痒くなる理由や羽音がうるさいわけ、刺されやすい人、蚊の防御法、日本脳炎・デング熱などの感染症のこと、蚊除け、そして蚊のやっつけ方まで、思いやりがあって、面白おかしく書いてくださっている。評者では書けない文章である。それが第一章。第二章は蚊に関する面白い話と銘打って、カクイカはオオカの幼虫を食べる、ヒトスジシマカが世界中に拡散したのは、古タイヤ内側のくぼみに隠れていたこととか、映画ジュラシック・パークに登場して恐竜の地を吸う蚊がオオカで、吸血しない蚊だった(要するに間違っていた)ことなど、蚊に関するオモシロ知識特集。第三章は、サナギからボウフラ、幼虫、成虫までの蚊の形態学、そして第四章が日本に生息する34種の蚊の図鑑。はっきり言って天体観測家には最高の実用書ですよ。